お米づくりの一年

新潟の大地で、真っ白に輝くおいしいごはんの誕生には、季節と共に移り変わるドラマがあります。一粒の種籾から始まり、秋にはたくさんのお米を実らせるまでの物語がそこにはあります。
小さな種籾が地中から芽を出し、太陽と雨の恵みを受けて成長します。その生命力に満ちた姿は、一粒から約500粒のお米を収穫するまで、不思議で美しい旅を繰り広げます。
その過程で、生産者の手がかりや自然の営みが交錯し、おいしいお米が育まれます。一粒の種籾が持つ力強い生命力を感じながら、新潟の大地で育むお米の物語をご堪能ください。

3月 育苗・田植えの準備


浸種

眠っていた種籾を目覚めさせるために、冷たい水に約2週間ほど浸します。そうすることで、種籾は水を吸収しながら、徐々に眠りから目を覚まし始めます。


種まき

土のベッドで稲の赤ちゃんを育てます。種籾から約1ミリの小さな芽が顔を出し、それが稲の赤ちゃんの始まりです。苗を育てる専用の箱に土を敷いて、その上に種籾を撒きます。そして、さらに薄く土をかぶせて、稲の赤ちゃんが成長しやすい環境を整えます。

4月 種まき・苗づくり

育苗

土のベッドに置かれた稲の赤ちゃんたちは、ビニールハウスで一緒に育てられます。暖かい室内の環境で、彼らはゆっくりと小さな苗へと成長していきます。

田植えの準備

柔らかい泥が苗を育むころ、田んぼでは「田植え」の準備が進んでいます。冬を越して固くなった田んぼの土を耕し、水を入れて泥をかき混ぜ、柔らかくしていきます。この作業を「代かき」と呼びます。

5月・6月 田植え

田植え

苗の子どもたち、ついに田んぼデビュー
ハウスで順調に成長した苗の子どもたちは、いよいよ田んぼへと向かいます。田植え機にセットされると、等間隔に田んぼへと植え付けられていきます。

7月 稲の成長

水管理

植えられたばかりの小さな苗は、まだとても弱いです。苗がしっかりと根を張るまでの間、田んぼの水を深く保つことで、急激な気温の変化や病害虫から守ります。

分げつ

幼かった苗は、成長するにつれて根元から分かれ、茎の数を増やしていきます。このプロセスを「分げつ」と呼びます。最初は1本だった苗も、収穫時には4〜5本にまで増えるのです。

8月 稲の成熟

茎の中で穂が育つ

太く大きく育った稲の茎を割ると、その中にはお米の実る穂が形成されています。1本の茎には、1本の穂ができています。秋が近づくと、この穂が黄金色のお米を実らせる、まさにお米のもととなる部分です。

出穂

田植えから約2ヶ月半が経過すると、茎の中で成長していた穂がゆっくりと姿を現し、小さくて可憐な花を咲かせます。この花が咲いているのは、わずか2時間ほどです。受粉が終わると、花はすぐに閉じてしまいます。

実り

受粉を終えたお米の花は、約1ヵ月半かけてお米へと成長していきます。穂の先にあるお米の元となる粒を「籾」と呼びます。この籾の中に栄養が蓄えられ、お米は徐々に成熟していきます。

9月 収穫

10月 乾燥・出荷

籾を乾燥する

収穫したばかりの籾は、約25%の高い水分を含んでいます。このままでは腐敗やカビの発生のリスクがあるため、籾をゆっくりと乾燥させて、水分を約15%に減らします。これで、お米を安全に保管できる状態に仕上げます。

玄米にする

乾燥させた籾から外側の殻を取り除くと、琥珀色に輝く玄米が得られます。この殻をむく作業を「籾摺り(もみすり)」と呼びます。

出荷

石などの異物が混入していないか厳しくチェックされ、色や形が良くないお米を取り除いた玄米は、大きな袋に詰められて出荷されます。